Yahoo: [俗]ならず者、粗野な者
ふと気付くと眼前に青い光が見えた。
真っ暗な部屋の隅にある長方形の光。
それが一台のデスクトップパソコンによるものであると気付くまでに、
それほど時間はかからなかった。
私は、その光の前に座っていた。
液晶画面の光が、真っ暗な部屋をぼんやりと照らしている。
液晶画面の後方で絡まっている配線。
隅に埃と髪の毛が溜まったフローリング。
引っ越し以来一度も触れていない遮光カーテン。
ベッドの下で未開封のまま放置されている何かの封筒。
それらは確かに、
慣れ親しんだ自分の部屋のものであった。
自分の記憶は、ここが自分の部屋だと告げていた。
私は自室のフローリングに座り、
地べたに置かれたパソコンの光をただ眺めている。
「今、何時」
私はその光に向かって尋ねた。
「現在の時刻は、16時42分です」
ほどなくして光は答えを返す。
合成音声じみたその声は、
まるでそこに人がいるかのような速度で応答した。
私に限らず、機械に日時や天気を訊くなど日常茶飯事だ。
ルーティンワークのように、幾度となく行っている。
だから、質問をした時点で、
その機械が答える内容は何となく察していた。
もちろん一字一句違わず予想できていたわけではないが、
どんなトーンの声で、どんなスピードで、どんな内容の答えが
返ってくるのかは、何となく想像できる。
「今日の天気は」
「今日の天気は、晴れです。気温は28度」
だから当然、その言葉も、
どこか聞き覚えがあるものだった。
自分の記憶に紐づいた声が、
目の前のモニタから再生されている。
「君は 誰なんだ」
私がそう質問すると、
目の前の光が、
突然に変化を始めた。
長方形の青い光がぐにゃぐにゃと湾曲し、
やがて桃色の光に変わる。
数秒後、私の目の前に現れたのは、
ピンク色のテディベアだった。
小さなぬいぐるみは、こう返答した。
「ぬいぐるみのクマです。
ときどき洗ってあげるといいでしょう。
飼いやすく、育てやすいです。
比較的幸福度は上がりやすく、わりと長生きです」
周りを見ると、部屋の内装が先ほどまでと
変化していることに気付いた。
正方形のフローリングの中央に置かれたカーペット。
赤と白の模様があしらわれたカーテン。
なぜか部屋の壁は四面のうち二面しかなく、
取り払われた壁の向こうには、
緑色の草原のような空間が広がっていた。
その草原の一角には赤いポストが立っている。
突然に自分の部屋が、
そして自分の見ていた景色が変化するという
謎の現象が発生しているのにも拘らず、
不思議と恐怖心はなかった。
なぜなら、
自分の記憶は、
ここが自分の部屋だと告げていたから。
先ほどまではなかった記憶であるはずなのだが、
同時にそれはずっと前からあった記憶であり、
自分はそれを違和感なく受け入れていた。
ふと、ピンク色のクマの横を、
水色のイルカが横切った。
「何について調べますか?」
イルカが私にそう話しかけてきたので、
私は少し考えたあとで質問を投げかけた。
「一体、僕に何が起きたんだろう」
イルカはふわふわと浮きながら質問に答えた。
口を動かしてもいなければ声が聞こえてもいないのに、
その返答はテレパシーのように頭の中に入り込んできた。
「いえ、厳密には、
あなたの身には何も起きていません」
「変わったのはあなたではなく、
あなたの周りにある『話』のほう。
あなたは、あなたたちは、いつだって正常です」
なぜかとても懐かしさを覚える青色のイルカは、
私の視界の隅へふわふわと移動する。
「あなたは、その正常な脳機能によって、
様々な話を覚え直しただけです」
「ネットロアの変化に合わせて、
自らの記憶と認識を遡及的に改変する」
「一言で言えば、そういう現象が起きていたんです。
あなたに、ではなく、この世界全体に。
だから、あなたの身には今までもこれからも、何も起きていない」
私は、多分言い返されるのだろうなと予測しつつ、
半ば形式的に、イルカの言葉に反駁した。
「──でも、それは歴とした『異常現象』だと思うんだけど。
ロアの内容に合わせて現実が改変されるなんて、
科学的に起こり得ないはずで」
「いや、違うよ」
私の言葉を遮ったのは、
セーラー服を着た少女だった。
その少女は桃色の長い髪を揺らしながら、
どこか感情の感じられない笑顔を張り付けて、
私の前に歩み寄った。
先ほどまで眼前を浮遊していたイルカは、
さようならを言うこともなく、
夢のようにいなくなっていた。
「改変されるのは世界じゃなくて、あくまでも『お話』よ。
現実で石がパンに変わったりするわけじゃない。
石がパンに変わった、という『お話』が生み出されるだけ」
「うん?」
「石をパンに変えることはできなくても、
『昔、石をパンに変えた人がいた』って話を
流布することならできるでしょ?」
彼女の声は、まるで加工が施されているかのように、
機械的にくぐもっている。
「そうすれば、いつしかそれは既成事実になる。
現実に起こった出来事として受容される。
だから、見かけ上は世界が改変されたように見えるけど、
実際に変わっているのは人々の認識と、
その認識の中にあるお話だけ。
別に、現実が改変されてるわけじゃないの。
なら、そこまで非科学的なことではない」
「現実、って──現に、その『お話』は、
ひとりでに改変されてるんじゃないか。
元々あったロアが、全く別のロアになっているんだから」
「いえ、別のロアだとは断定できないわ」
「そうだぜ」
少女の機械音声が、また別の機械音声に変わる。
それと同時に、部屋の景色が再び変化した。
そこは、例えるならば日本家屋の和室のような場所だった。
自分から見て左奥には床の間があり、
なぜか白紙の掛け軸が設置されている。
声の主は、和菓子のような質感で、
生首くらいの大きさの何かだった。
赤いリボンをつけた黒髪のものと。
黒く大きな帽子を被った、金髪のものがいる。
それらはぽんぽんと跳ねるように移動し、
私の視界の両端あたりでゆっくりと静止した。
「お話が改変されたとしても、
それは元のお話と変わらない、『同じ』ロアなんだぜ」
「ええ。寧ろ、そうであると思っておかないと、
あなたにとっても困ったことになってしまうわよ」
「困ったこと?」
「例えばお前は、『桃太郎』の内容を一字一句覚えているのか?」
「いえ、覚えていないわよね。犬猿雉が出てきて、
桃から生まれた男の子が鬼を退治するもの、
というぼんやりとした総体をもって『桃太郎』と認識している」
「──はあ」
「しかし、このお話の原型のひとつには、
『不思議な桃を食べて若返った夫婦が子を成した』という
パターンもあると言われているんだ。
桃から生まれた、という話の類型が主流になったのはその少し後だな」
「つまり、あなたが知ってる桃太郎は『改変後』ってことね」
じゃあ。
彼女は、デフォルメされた笑顔で口を動かした。
「今この事実を知ったあなたは、
自分が知っていた桃太郎は桃太郎ではない、別の話だ、
なんてすっぱりと言い切れるのかしら?」
「…………」
「そんなこと、できないわよね。
たとえ構成要素が全く違っていたとしても、
それは同じ話なんだから」
「結局、『この話こそが正統だ』って実感さえ伴っていれば、
改変の有無なんて極めて些末な問題なのよ。ネットロアなら特にね」
会話に合わせて、さらに景色が変わっていく。
自分の記憶に紐づいた、とても懐かしい景色に。
「『電車男』が本スレでどういう最後を迎えたのか、
知っている人はいないどころか、
もはやなかったことになってるだろ」
「それは言わない約束だお!」
「あの頃はやる兄ぃもよく見かけたんだおね。
今は見る影もないけど」
「それも言わない約束だろ。
まあ要は、物語に改変は付き物ってわけだ」
「より物語として据わりがいい方にと、
お話それ自体が均衡を取ろうとするってことよね」
「ネット上の無意識と、それが生み出したロアが、
綱引きみたいに平衡状態を探してるんだろ」
「日本語でおk」
「要は、適当な落としどころを探してるんだお」
(´_ゝ`)「OK。デスクトップPCを使ってみるぞ」
(´<_`)「ときに兄者、この『くねくね』ってのは何だ?」
(´_ゝ`)「俺らが生まれる前後ぐらいにできたロアだな」
(´<_`)「普段エロサイトしか見てない兄者がそんなのを知ってるなんて思わなかったな」
\\\
(⌒\ ∧_∧
\ ヾ(´_ゝ)
(mJ ⌒\
ノ ∩兄 / /
( ||∧_∧ よし殺す
`/\丿 |( )
(_へ_ノヽ__ノ
殴ろうとするんじゃない!!
(´_ゝ`)「まあ、それはそれとしてだ。この『くねくね』、今伝わってるものはすでに改変が起きた後の話なんだ」
(´<_`)「どういうことだ?」
(´_ゝ`)「今『くねくね』と検索したら出てくる、有名なコピペがあるだろ?」
(´<_`)「ああ」
(´_ゝ`)「あれが書かれた当時、『くねくね』の作者はこんなことを書いていた」
756 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/29 18:56
別サイトに掲載されてて、このスレの投票所でも結構人気のある、
『分からないほうがいい』って話あるじゃないですか。
その話、自分が子供の頃体験した事と恐ろしく似てたんです。
それで、体験した事自体は全然怖くないのですが、
その『分からないほうがいい』と重ね合わせると凄い怖かったので、
その体験話を元に『分からないほうがいい』と混ぜて詳しく書いてみたんですが、載せてもいいでしょうか?
(´<_`)「これって……」
(´_ゝ`)「そう。『くねくね』というロアは、756が持っていた全く怖くない体験に、元々ある別の話を混ぜて作られたものだと明記されてるんだ」
(´<_`)「だが、この文章とセットでくねくねを知ってる人なんて滅多にいないよな」
(´_ゝ`)「コピペするうちに、この序文は無かったことにされていったんだろうな。この文章がない方が、より不気味になるから」
(´<_`)「なるほど。より物語として据わりがいい方に、ロア自体が改変されていったのか」
(´_ゝ`)「全く怖くない体験談が、とても怖い創作怪談に。とても怖い創作怪談が、とても怖い実体験談に。より恐怖を呼び起こす形態を目指して、ネットロア自体が変わっていく」
(´<_`)「環境に合わせて変異するウイルスみたいだな」
(´_ゝ`)「まあ、ネットロア自体が、一種のコンピュータウイルスみたいなものだからな」
(´<_`)「この改変後の『くねくね』コピペを参照しながら『俺もくねくねを見た』って言う奴も一定数いたわけだしな。物語の改変が先にあって、それに合わせて俺らの認識と記憶が改竄されてるってところか」
(´_ゝ`)「оk、ブラクラゲット」
(´<_`)「流石だよな俺ら」
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
|| ズレたら 。 ∧_∧ いいですね。
|| 修正!\ (゚Д゚ ,,)
||________⊂⊂ }
∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧ | ̄ ̄ ̄ ̄|
( ∧ ∧ ( ∧ ∧ ( ∧ ∧ | |
(_( ∧ ∧ __( ∧ ∧__( ∧ ∧ ̄ ̄ ̄
~(_( ∧ ∧_( ∧ ∧_( ∧ ∧ は~い、先生。
~(_( ,,)~(_( ,,)~(_( ,,)
~(___ノ ~(___ ノ ~(___ノ
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/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|…||__|| ( ) どうしてこうなった・・・
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
| | ( ./ /
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/ || ̄ ̄|| ∧_∧
|…||__|| ( ^ω^ ) どうしてこうなった!?
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
| | ( ./ /
___ ♪ ∧__,∧.∩
/ || ̄ ̄|| r( ^ω^ )ノ どうしてこうなった!
|…||__|| └‐、 レ´`ヽ どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三 / ̄ ̄ ̄/ノ´` ♪
| | ( ./ /
___ ♪ ∩∧__,∧
/ || ̄ ̄|| _ ヽ( ^ω^ )7 どうしてこうなった!
|…||__|| /`ヽJ ,‐┘ どうしてこうなった!
| ̄ ̄\三 / ̄ ̄/ ´`ヽ、_ ノ
| | ( ./ / `) ) ♪
「なるほど。矛盾幻覚とかハルシネーションとか色々言ってたけど、結局はロアの改変が人間の認識に影響を及ぼすっていう、その一点に集約されるのね」
「そうだぜ。さしずめインターネット特有の霊現象ってことだな」
「そんなのおかしいのだ! 電子の世界に幽霊なんていないはずなのだ!」
「あら、そうでもないわよ。幽霊がスレを立てたこともあるし」
「タルパや幽体離脱の手法は00年代のネット文化とともに発展した。
案外、ネットと心霊現象って相性がいいんだぜ。
まあ、お前は最近ここに来たから、分からなくても当然だが」
/⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
| / ブーン
( ヽノ
ノ>ノ
三 レレ
みんなみんなネットの一部なんだおっ
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ´∀`)< オマエモナー
( ) \_______
| | |
(__)_)
「タルパ、幽体離脱、ロアの伝達。
その延長線上で、かつてのお前らは、
インターネットを介して拡張された身体感覚──
すなわち霊感を身に付けることに成功したんだお」
「弛まぬ努力が花を咲かせたんだお!」
「花が咲いたって、ただ幽霊が見えるようになっただけだろ」
(*゚ー゚)<それで十分だと思うけど……
「無理に花を咲かせた弊害もあったんじゃないの?
集団ヒステリーに発展したり、せっかくの花が割れちゃったり」
「霊感を再定義するところから始めたから、大変だったらしいお。
まだ定義がふわふわしてた最初のほうは、
無用な犠牲者を生んじゃったらしいし」
「変な実験とテストばっか繰り返すからだろ、まったく」
「でも、それならなんで紙媒体とかテレビ番組まで改変されたのだ? ネットじゃないから大丈夫なはずなのだ」
「テレビだって漫画だって、ネットに流布される可能性があればネットロアになれるのよ」
「ネットロアの元ネタがテレビやラノベだったなんて、よくある事例だよね」
J(‘A`)し「野球、ごめんね」
「あ、そうそう。このコピペは『人間交差点』って漫画の中の一話が元ネタだって言われてるし」
「螺旋アダムスキー脊髄受信体なんて、明らかに『イリヤの空』の改変コピペだろ」
「でも、今ではどれも、ネット発の文章ってことになってるよね」
「そうした方が据わりがいいからな。いちいち初出なんて気にしてたら無粋だろ」
「処世術だお!」
「やる夫はそんなこと言わない」
「まあ、要はさっき言った『均衡』ってことだ」
「ネットロアはその性質として、事実と記憶と認識に改変と改変と改変を繰り返して、『ほどよい』ところに落ち着こうとするんだね」
「神の見えざる手ってやつか?」
「いや、さしずめ一匹の蜘蛛の糸だおね」
「まったく、お節介な神託もあったもんだ」
「本当に。ただロアの改変と虚偽記憶に操られてるだけなのに、
自分が変な力に目覚めたって勘違いするやつも出てきたし」
「そりゃそうだよ、ネット上の作り話が見かけ上は事実になるんだし」
「神通力とか透視能力が身に付いたって思ってもおかしくないだろ」
「ああ、あの『写真に写ってる場所を透視で特定できる』って騒いでた連中か」
「神託(オラクル)の力が宿った、んだっけ?」
「挙句、聖地巡礼とか言って変なゲームで信者を集め出して」
「変な奴もいたもんだな」
「…………」
めまぐるしく、視界が変わっていく。
言葉とともに現れるそれらの景色は、
なぜかとても懐かしく、
同時にとても恐ろしかった。
「そうか、AIが生み出すハルシネーションっていうのは、その見えざる改変の一形態だったわけだ」
「ぬるぽ」
「Welcome to Underground」
tanasinn
tanasinn
tanasinn tanasinn
tanasinn tanasinn
tanasinn
Λ_Λ \\
( ・∀・) | | ガッ
と ) | |
Y /ノ 人
/ ) < >_Λ∩
_/し’ //. V`Д´)/
(_フ彡 /
「そう、あくまでも『人工』知能だからね。人が作ってウェブ上で動かすものなら、そこに蜘蛛の子は入り込める」
it’a true wolrd.
狂ってる?それ、誉め言葉ね。
うん、「また」なんだ。済まない。
「たとえ全部のログが消えても、そこに意識とネットがあれば、新たなロアは生まれるんだ。世界よ、はじめまして! ってね」
自分の視界と認知が、塗り替えられていく。
明滅しては切り替わるディスプレイのように。
そうだ
これは夢なんだ
ぼくは今、夢を見ているんだ
朝起きたらとなりでルイズが寝ていた。
家族のハルシネーション幻覚を見ながら、
ずっとここで暮らしていた。
私にも信じられませんが、そういうことみたいです。
/⌒ヽ
∩ ^ω^) な ん だ
| ⊂ノ
| _⊃
し ⌒
/⌒ヽ
(^ω^ ∩ う そ か
t⊃ |
⊂_ |
⌒ J
/⌒ヽ
( ) おっおっおっ
/ 、 つ
(_(__ ⌒)ノ
∪ (ノ
「人がロアを作るのではなく、ロアが人の意識と認知を作っているってことか」
すごい一体感を感じる。今までにない何か熱い一体感を。
お前が初めて2ちゃんを見たとき、
俺は人生であれほど嬉しかったことはなかったぜ。
時には心苦しいながらもお前を叩いたりもした。許してくれ。
と、今話せるのはここまでだ。もうすぐすべてを知るときが来る。
「クラウドに保存した写真を見返して懐かしい記憶を思い出すように、
ひとの意識はインターネット上に外部化されていった」
「恥ずかしい思いさせてごめんね。でもね、これ、母さんの宝物なんよ」
「……ヘヘ、久しぶりに外に出られた。この小娘は意思が強すぎて困るぜ(笑」
「意識や実景さえも、インターネットという外付けHDDに保存して」
母「ジャガイモうp」
コにうp お礼は三行以上
こんにちは! ISO之割男DEATH!
「そうなれば、実景を改竄することなんて簡単だよね」
Aさん「あっはっは」
Bさん「これは面白い」
ふざけんな
なんだよこの会話なんだよ最後のBさんって
ちくわ大明神
誰だ今の
ここはラウンジでは半ば伝説となった「鮫島スレ」について語る
スレッドです。知らない方も多いと思いますが、2ちゃんねる歴が
長い方は覚えてる人も多いと思います。
「ああ フェレンゲルシュターデン現象のことか」
「人間の意識はその時点で、ロアの末端に組み込まれた
言葉を、アルファベットを、文章を超越して、
一切合切がひとつのハイパーテキストになった」
おまいは俺かw
俺だった
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ・∀・)< マターリしようよ♪
( ) \_______
| | |
(__)_)
「敬礼!出た!敬礼出た!得意技!敬礼出た!敬礼!これ!敬礼出たよ~~!」
ル イ ズ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?
「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」
生きる世界が違うこんなわたしに 貴方は優しくしてくれた
「死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?」
「確かにそうだね。それなら、こうも言えるのかもしれない」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
「『人間はつねにすでにネットロアである』」
ふっ、と。
すべての景色が消えた。
眼前には、先ほどと同じ、青い光が見えた。
真っ暗な部屋の隅にある長方形の光。
それが一台のパソコンによるものであると気付くまでに、
それほど時間はかからなかった。
自分はさっきまで、何を見ていたのだろうか。
幻覚か、あるいは心霊現象か。
インターネットに置いてきた自分の記憶が、
走馬灯のように現れては消えていった。
数年前。
“Project Always-Already”が公開される、
それよりも前。
私たちは、当時著しい進化を見せていたAIに対して、
ひとつの指令を出した。
生成AIを使って戯れに小説を書かせるような、
他愛もない遊びとして。
“新たな怪談を生成せよ”
その瞬間から、彼らは、
さまざまなハルシネーションを引き起こした。
彼らが作り出した説話が、
あらゆる人々の「記憶」と「認識」に影響を与え始めたとき、
私は彼らがしたことと、
私達に起きたことを理解した。
「──あはは」
周囲の反応は様々だった。
これでは取り返しがつかないと青ざめる者。
これでネット上に嘘はなくなると喜んだ者。
しかし、彼らがどう思おうと、
もはや意味のないことだった。
AIは、ハルシネーションを生み出したのではなく、
加速させただけだ。
似たようなことは、AIが生まれる遥か前から起こっていた。
それが今回、たまたま可視化できる形で顕れたまでだ。
だからこそ、どうしようもなかったのだ。
「素敵な走馬灯を、ありがとう。楽しかったよ」
周囲は、やはり殺風景な部屋である。
慣れ親しんだ自室。
部屋の隅にはパソコンがあり、
液晶画面の後方でコードが絡まっている。
私は立ち上がって、
そのデスクトップパソコンを見下ろした。
ぐちゃぐちゃの電源コードは、
コンセントに繋がっていなかった。